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ハズレ年に挙げられるも、ケンプ、ハーダウェイ、ディバッツら11位以下に魅力的な才能が集結。豪華トリオが結成していた可能性も!【NBAドラフト史:1989年】

大井成義

2020.03.27

桁外れの運動能力を生かし、豪快なダンクを連発したケンプ。17位指名ながら、オールスター出場は1989年組トップの6回を誇る。(C)Getty Images

■上位10人中8人はハズレだが、11位以降に個性的な選手が

 ウィキペディア英語版の説明文によると、1989年のNBAドラフトは"史上最悪のドラフトのひとつと考えられている"そうだ。その理由に挙げられているのが、1位パービス・エリソン、2位ダニー・フェリーをはじめ、上位指名10人のうち8人がハズレだったから。

 たしかに、1位と2位のがっかり感は半端なく、さらには10位以内の選手のスタッツを見てみると、3位のショーン・エリオット(元サンアントニオ・スパーズほか)と4位のグレン・ライス(元シャーロット・ホーネッツほか)を除いて、なかなかのハズレっぷりである。トップ10人のキャリア平均得点は9.7点。"キング・オブ・ハズレ年"とされる2000年(1位ケニョン・マーティン:元ニュージャージー/現ブルックリン・ネッツほか)の9.0点と比べても遜色がなく、各選手の印象もかなり薄い。
 
 ところが、11位以降の選手も加えて総合的に見れば、そこそこイケているドラフト年に思えてくる。特に1巡目の11~18位には、個性的で魅力にあふれた唯一無二な選手がずらりと顔を揃えており、むしろ「こんな粒立った選手がよく集まったなあ」という驚きすら覚えるほどだ。

 11位ニック・アンダーソン(元オーランド・マジックほか)、12位ムーキー・ブレイロック(元アトランタ・ホークスほか)、14位ティム・ハーダウェイ、16位デイナ・バロス(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか)、17位ショーン・ケンプ、18位BJ・アームストロング。加えて26位ブラデ・ディバッツ(元サクラメント・キングスほか)に36位クリフォード・ロビンソン(元ポートランド・トレイルブレザーズほか)。

 日本のオールドファンの多くは1990年代初頭からNBAを観始めたと思うが、ちょうどその頃に輝きを放ち始めていた、懐かしくも印象深い選手たちだ。彼らが10位以内に名を連ねていたら、この年の評価はまったく違うものになっていたかもしれない。少なくとも、ウィキペディアに"最悪のひとつ"などと書かれることはなかっただろう。

 印象的な選手を数多く輩出するも、その年の顔とも言える1位指名選手をはじめ、トップ10にハズレ選手がひしめいているがゆえ、低評価を受けざるを得ない1989年のNBAドラフト。不憫というか、なんともやるせないドラフト年である。
 
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大物ドラ1を多く輩出した1980年代だが、最後の年は本命不在に